舞台「コインロッカー・ベイビーズ」再演 W主演Wキャスト

「コインロッカー さいえん できますように 橋本良亮 ハシ」

コインロッカー・ベイビーズ初演が終わってすぐ、橋本くんが七夕の短冊に書いた願い事が叶いました。おめでとうございます。
 

しかもキクとハシを途中で入れ替えるというWキャストとのこと。

私は舞台の再演はあまり賛成できない派なのですが、初演の頃にそれは観てみたいと思っていたこともあり、楽しみにしておりました。
 

というわけで、両方の配役の公演を観た印象。
 
ハシきゅんは性格が悪い
ハシはしは頭が悪い
キクきゅんは九州男児
キクはしは橋本良亮
 

端的に言うとこんな感じです。

 

配役入れ替えと聞いたとき、まず河合くんのハシが楽しみだったんです。

面会のシーンの狂ったハシを演じる河合くんは絶対キレイだろうなって。

そんで観てみたらアレですよ。

面会シーンも良かったんですけど、その前に「青い舌」ですよ。

Dに「歌え」と言われた途端のスイッチの入り方…。綺麗…。好き…。

「かーなーたーから〜♪」部分だけ一瞬キムタク入るけど、ダンスしてる時のハシきゅんは全てのラインが美しいですよ。

全体的に伏し目がちなのでまつ毛がね!まつ毛がいいのよ!!

あの、「青い舌」に限らず河合くんのハシの強みはまつ毛だと思うんですよね。

あとニヴァとのキスが!すごく!すごく良かった…!

とても美しく見える理想的な角度と速度で…なんかもう…良い……。
 

それはそうと、橋本くんのキクですよ。

キクっていうか橋本くんですよね?

「もしもコインロッカー・ベイビーズのキクが橋本良亮だったら?」

というもしもシリーズを見ている気分というか。

タクシーのシーンでの「乗る?」がめちゃくちゃ優しくて、えええーー!ってなりました。

アネモネとチュッチュするシーンも童貞(という役柄のはず)とは思えないこなれ感。

キクはし…めっちゃ橋本良亮じゃん…ただのカッコイイ橋本良亮じゃん…。

しかしそれも悪くない。むしろ良い。

「女を産んだ〜この腐った世界〜♪」とか歌ってるくせにめちゃくちゃ女性に優しいキクですが「まあ、いっか!」ってなってしまう程説得力のあるカッコよさでした。

初演と配役入れ替えバージョンの印象としては、多分、原作に近いのはこちらの方なんだろうなって。ビジュアル面でという意味もあるんですが、具体的に言い表せないような雰囲気なんですけど。原作を読んだ時、面会後、キクはハシを諦めたような、ハシはもうキクのことを好きじゃないのかな…といった二人の気持ちが離れてしまう印象があって。

そこら辺をはしふみが演じるのがちょっと嫌だなと思ってたんですが、初演の時にはそういう感じがなく、ちゃんと最後までお互いがお互いを好きな感じでほっとしてまして。

それって脚本の関係だと思っていたんですけど、再演のハシきゅんキクはしバージョンだと、最後少し二人の気持ちが離れてしまったような、あの嫌な感じがあったんです。ただ、再演のキクきゅんハシはしバージョンでは初演と同じくそういう感じが無かったので、橋本くんのハシの優しさなのかなあ。河合くんはキクにしてもハシにしても、原作どおりのクズっぷりを忠実に演じていますよね。「キクは島の恥なんだって」も、私が原作で読んだ時の印象は、ハシきゅんバージョンの方だったので。

橋本くんが演じると、キクもハシも結構橋本良亮含有率高いんですけど、「コインロッカー・ベイビーズ」という救いのない物語に、少しだけ救いが生まれるんですよね。舞台化が原作にどれだけ忠実なのかっていうのも大事ですけど、舞台化ならではの原作には無かった希望の光みたいなものを、橋本くんがちょうどいい感じにトッピングしてくれるっていうのが醍醐味だと思います。
 
というわけで、どちらのバージョンが良いかと訊かれたら(もちろんどちらも選べないくらい良いという前提で)原作に忠実なのはハシきゅんキクはしバージョンだし、河合担としてはハシきゅんの完成度に感激したわけですが、はしふみ担としては、言葉では説明しきれない関係性等考えると、やっぱしキクきゅんハシはしバージョンが好きです。キクがお兄ちゃんでハシが弟という関係性。歌割の声質も、ガッと強い声量のある河合くんのキク・繊細な美しさがある歌声の橋本くんのハシ。あと、やはり初演はどうしても超えられない思い入れってのがありますよね。
 

あっ!ひとつ初演より良かった部分あります!
「キク 僕はこの街が好きだよ」で上手から手つないで出てくるシーン。初演は初日だけ手つないでて、何故かそれ以降最終日までハシがキクの手首つかんでるバージョンに変わってしまったんです。

コレが再演ではどっちの配役バージョンでもずっと手つないでた~~!!

嬉しい~~~~!!

このシーンの改善感謝!!ありがとうございます!!!

※余談ですが、原作ではこのシーン、ハシがキクの目の前でDにキスしながら「ぼくはホモなんだよ…」っていうところなので、初演で観るまえは一番見たくないシーンだったのですが、舞台バージョンでは面会シーンと並ぶくらい好きなシーンとなりました。きむしんさんありがとう。

ってはしふみ厨の欲望丸出しにしたついでに白状しますけど。
毎回一番楽しみにしてたのはカーテンコールです。
あれだけ緊迫した演技の後、橋本くんのポンコツ気味の挨拶に癒され…。橋本くんが言葉につまって困った時は、すぐ隣にいる河合くんに視線を向けて、そういう時は必ず河合くんが的確にフォローして。ステージの真ん中ではしふみが顔を見合わせてニコニコしてるっていうさーーー

もーーーーさーーーーーーー…

至福
 
あたし~はしふみが好き~しびれーるーほど~本気~♪
(結局それ)

 

舞台 コインロッカー・ベイビーズ その先

 

コインロッカー・ベイビーズの最後、結局あの3人はどうなったのか、原作でもラストは同じような感じで、はっきりとは描かれておりませんが、読んだ人のご想像にお任せしますということなのでしょう。
なので、ここからはあくまで私の想像です。

 

ハシは死んでしまうのではないかと。
ハシはキクが撒いたダチュラを浴びて死んでしまうのですよ。
ハシは生きることを決意した直後にキクに殺されるのです。
皮肉なものです。
キクは面会で狂ったハシを見て、ハシを狂わせた東京ごとハシを殺すことを決意したんでしょう。
2幕の序盤に、アネモネが唄う「殺してあげる」。
あれはアネモネがキクに対して唄っていますが、それを実行するのはキクがハシに対して、になります。
それを意図していたかどうかわかりませんが、ラストシーンの「手首外れた」の時に「殺してあげる」がピアノでワンフレーズだけ流れていました。
キクがハシを「殺してあげる」のです。
では、ハシを殺した後、キクはどうするのか。
自分の勝手な感情だけでハシを殺しておいて、アネモネと一緒にどこか遠くへ逃げて、二人で幸せに暮らすのか。
そんなの許せない、ヘリから転落して死ねばいいのにって、原作を読んだ時からずっと思ってました。
だからラストでキクとアネモネが手つないで出てきた時は、本当にショックでした。
でも、赤坂ACTシアター限定の演出ですけど、本編が終わってカーテンコールで2階にハシとキクが現れた時、ああ、やっぱし二人は一緒に天国へ行ったんだ、って嬉しくなったんです。
単なるファンサービスだったのかもしれないですが、あれは私にとって重要な演出でした。

そもそも、キクにとってアネモネは何だったんだろうかと。
キクは自分をコインロッカーに捨てた「女」を恨んでいて、「女」自体を信用していないのではないでしょうか。
でもキクは義理堅いので、自分を育ててくれた「シスター」「和代」、金銭面で多大な協力をしてくれた「アネモネ」には感謝していて、原作でアネモネと結婚式を挙げたのも、アネモネに対する感謝の気持ちだったのかなと。
ただ、東京を爆撃する前に結婚式を挙げたのは、やっぱしその後死ぬつもりだったのかもしれません。
死ぬ前の恩返しとして。
ヘリのパイロットがキクとアネモネに「君たちはアレかい、サーフシティベイビーズかい?」と問いかけて「いや、俺たちは、コインロッカー・ベイビーズだ」と答えるキク。
この部分は有名なシーンで、原作を読む前からこのフレーズは知っていたので、原作を読む前はアネモネもコインロッカーベイビーだと思っていたのですが、実際アネモネコインロッカー・ベイビーズではないのです。
つまり、キクの言う「俺たち」は自分とアネモネではなく、ハシと自分のことを指しています。

結局キクはハシしか信用してないし、ハシ以外いらないし、ハシがハシでなくなるならハシを殺して自分も死ぬのでしょう。
キクが死んだらアネモネはどうするんでしょう。
後を追って死ぬのかなとも思ったんですが、アネモネは強い女だから、キクを想いながら生き続ける気もします。



以上が私の印象です。

はしふみが舞台「コインロッカー・ベイビーズ」に主演すると知ってから原作を初めて読み、1度しか読んでいないので、もしかしたらどこか勘違いしている部分もあるかもしれませんが…。

原作では登場人物もみんなクズだし、これでもかというくらいに救いようのない退廃感が満載の印象でしたが、舞台になるとだいぶマイルドになっていた気がします。

原作ファンの方にとっては物足りなかったかもしれませんが、この時代に「コインロッカー・ベイビーズ」を表現するにはちょうど良いのではないでしょうか。

 

舞台コインロッカー・ベイビーズ」はエンターテイメントとして本当に素晴らしいものでした。

はしふみがこの舞台に主演したことは、きっと今後の活動の糧になると思います。